◆新詩集
馬渡さんの詩の言葉はやさしい指先のようにさりげなく目の前の日常に触れる。そうしてさりげなさのぶんだけ深いところまで入り込み、当たり前のようにそこにあるからかえって見えなくなっていた自他の傷や歪みをさぐりあてるのだ。泣き笑いの表情を思わせる言葉の連なりが、悲しみをそっと撫でていく。
(川口晴美)
◆収録作品より
大気の中の
見えない命たちは
互いに結ばれて
こんなにきれいな
ハムとレタスになった
何だ
ボクはもう命の中にいる
(「生」)
*
[まわたりこういち]
帯:川口晴美
装丁:和兎
B6判ペーパーバックスタイル
150頁
2011.11.15刊行