◆第一句集
落?としてことごとく天仰ぐ
作者の句の特長は、知と情の相俟った作品にあると言えよう。知的であって情の通った作品に、作者の本領が発揮されているように思う。
(序より:鈴木貞雄)
◆収録作品より
蟇をらざるごとくをりにけり
危ふきに遊んでをりし芋の露
とつておきの色まだ見せず七変化
佐保姫の裳裾の色として萌ゆる
花舗に着く一荷は青き麦の束
大磐の注連掛けかへる山開き
水底の植木鉢より菖蒲の芽
丹精を凝らせし菊の余所余所し
東慶寺山内にして猫の恋
なまじ丈高きが哀し雲雀籠
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[わたなべけん(1944〜)「岬」「若葉」同人]
序:鈴木貞雄
装丁:和兎
四六判並製カバー装グラシン巻
230頁
2011.10.28刊行