◆精鋭俳句叢書
大鷹の首すぢを風吹きわけぬ
日本の伝統的情操を豊かに身に秘めつつ、現代の東京という大都会で働きながら生きる女性として、明子さんはますます豊かに羽搏き、比類のない表現世界を切り拓いてゆかれることと思う。
(序より:山下知津子)
◆中嶋鬼谷選より
人形買ふ枯葉のいろの瞳を選び
皆既日食地吹雪ゆるむとき見えし
雨匂ふ神木蛇の衣垂らし
月今宵路上ライブのみな猫背
新豆腐布ごと水に放たるる
風花や市聖の臑細き
トロ箱の型に鮟鱇ひろがり居
雪の厩舎岩塩舌形にゑぐれ
コルク抜く音かろやかに春の月
舟唄や翔つ青鷺のしづくして
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[のぐちあきこ(1955〜)「麟」「猫蓑会」同人]
序:山下知津子
栞:中嶋鬼谷
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
200頁
2011.11.01刊行