◆第二句集
京いでて四十年のさくらかな
本集の上梓を先づ喜びたい。鶴俳句の骨格をよく学んだ句集として、『山鉾』を座右に置けることは幸せである。
新涼や柄杓に掬ぶ宗祗水
山科に夜の来てゐる朧かな
花いばら李白の白と思ひけり
(帯より:星野麥丘人)
◆自選十句
蛤となる雀をり急ぐなよ
金目鯛あまりに赤く敬遠す
青胡桃雨となりたる沢あるき
泳ぎゐて水のあはざることもあり
御来迎六十一の眉のまへ
光堂いできて杉の木下闇
山鉾の玉手箱なら貰ひませう
母撚りし願の糸でありにけり
東京の時雨といふは卦体な
鬼の豆七十食うて鬼女となるか
*
[なかむらあみ(1941〜)「鶴」同人]
帯:星野麥丘人
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
224頁
2011.10.28刊行