◆第二句集
これよりの計を初湯に寿
毎年元日は伊豆山荘でゆっくり温泉につかり一年の計をたてて英気を養うのを常としているので「寿」を題名にすることにした。
私は馬醉木と同じ九十歳。こんなに長生きするとは思ってもいなかった。父母から健康なDNAを授かったものと感謝している。
◆自選十句より
山霧か硫気か地獄枯るる中
紫陽花の昔は藍と思ひけり
信濃いま枯れ一望の山河かな
これよりの計を初湯に寿
元日や医師を忘れしたなごころ
七月や旅の鞄に聴診器
流星や身につかざりし微積分
鯛焼は尾鰭が勝負並みて買ふ
蒼天に火の穂を挙げて山焼くる
一山の大き末黒となりにけり
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[みずはらはるお(1922〜)「馬酔木」主宰]
装丁:和兎
四六判フランス装函入
244頁
20111016刊行