◆第一句集
俳人には才能型と努力型があるそうだが、博子さんは根底に両方を備えている人だ。彼女に俳句を勧めた最愛の夫君が他界された後、家業の責任ある立場にありながらも俳人協会第45回関西俳句大会賞他、着実に実績を見せている。作風は「写生構成」を踏襲し本質への切り口が自在で愉しい。
(帯より:橋本美代子 角川学芸出版「俳句」より転載)
◆自選十二句より
北帰行風待つ鶴が天仰ぐ
サスペンス読む百合の香が邪魔をせり
炎天に躓く映画館を出て
遊牧民小川で馬も児も洗ふ
昼寝覚西域の旅まだ続く
帰らざるままの父の忌終戦日
月光を巻き込んでゐる大鳴門
銀河濃しトラピスチヌの灯が消えて
秋風裡立てて久しき母の箏
夫恋ひの吾を風花の野に晒す
*
[たかせひろこ(1939〜)「七曜」同人]
序句/帯:橋本美代子
跋:川北憲央
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
212頁
2011.10.11刊行