◆第二句集
出棺に雪靴きゆうと忍び泣く
泣きながらその手に触るる菊の棺
清浄に生きし人なり茄子の花
平成二十一年著者は母堂と最愛の奥様を失う重忌哀という悲運に遭遇された。
この句集は著者が天国へ贈る鎮魂の書である。
(帯より:有山八洲彦)
◆有山八洲彦選より
女将去り香の残りたる?風かな
流れ行く雨の路上の花筏
地下鉄の駅に風あるうすごろも
春一番缶は自由を得て転ぶ
幸せといふ妻のゐて孫の雛
手術着を脱ぎて手術の汗を脱ぐ
耳鼻科医の耳付けて去る雪だるま
竹が竹打ちて嵯峨野の春一番
白きもの白く乾きて梅雨晴間
日盛の機体影より着陸す
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[むらかみえしょう(1941〜)「朱雀」副主宰「狩」同人]
帯:有山八洲彦
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
188頁
2011.10.21刊行