◆第一句集
面売りの面を外して花惜しむ
一定の完成度をもって、坦々と詠みつぐ、という基本姿勢は、この
たびの句集『緋を放つ』を通じ一貫して変らない作者の作句信念である。
(序より:山崎ひさを)
◆自選十句
寒天の干して十日の軽さかな
スキー靴ランチタイムの床鳴らす
火祭やうしろの闇に水の音
農具市踏切越えて続きけり
みほとけをつつみて枝垂桜かな
母に添ふわれも老いけり仏生会
藤房に藤著るごとく添ひにけり
萍の覆ひし水の深さかな
火星接近青松虫のさわぎけり
弓あらば遠く放たむ草紅葉
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[たけうちえいこ(1931〜)「青山」同人]
序:山崎ひさを
跋:小宮山政子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
202頁
2011.08.22刊行