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◆温厚な心地よさ
嫁ぐごとく島を出てゆく蜜柑船
手塩にかけた蜜柑を船で運び出す時の喜びと、ものさびしさが、「嫁ぐごとく」に集約された。
遠山のやうやく暮れて青簾
暑い一日が終ろうとする時に巻き上げた簾。遮られていた山並も涼しげである。
温厚な作風で、まさに「青き踏む」心地よさの句集だ。
鷹羽狩行
◆遠藤若狭男抽出
朝の日へ駆け出しさうに稲架の馬
神木に命さづかり毒きのこ
美しき罠をつむぎて女郎蜘蛛
ことづてを風にたくして吾亦紅
紋付の母と連れ立ち初芝居
蟇穴を出るに出られぬ鍬の音
遺されしピアノに譜面夜の秋
常ならぬことが世の常返り花
重箱に蒔絵の山河大旦
衿巻に化け銀座へと銀きつね
初鶏や百代の影うごき出し
*
[おかにしのぶえ(1935〜)「狩」同人]
序句・帯:鷹羽狩行
跋:遠藤若狭男
装丁:和兎
四六判フランス装
198頁
2011.09.07刊行