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◆感覚の詩的な働き
咲き満ちてなほ隙間ある桜かな
満開になった桜を眺め、隙間があるからこそ桜は美しいと改めて気付かされた。
山水の固さほぐして紙を漉く
山水はまさに生一本という感じで、それをほぐすことから紙漉きが始まる。伝統工芸の秘法、ここにあり。
しきりなることの静けさ春落葉
冬の落葉との違いを見事に看破した。春落葉の本質に迫った句といえる。
それぞれ、視覚、触覚、聴覚の知的な働きが優れている。
◆西宮舞抄出より
夕焼や大和に海のあるごとし
猫捨てて来て炎天の道戻る
咲き満ちてなほ隙間ある桜かな
大仏の膝のひろやか水温む
青空となりたる一日日記買ふ
われ吹きしあと妻が吹き瓢の笛
一斉に地の声上げてクロッカス
山水の固さほぐして紙を漉く
しきりなることの静けさ春落葉
みこもりの水分の神山ざくら
*
[たなかきよし(1938〜)「狩」「朱雀」同人]
序句/鑑賞五句/帯:鷹羽狩行
跋:西宮 舞
装丁:奥川はるみ
四六判上製カバー装
194頁
2011.08.16刊行