◆飯島晴子評
一月の畳ひかりて鯉衰ふ
一月の畳はひかります。しかし青々とした畳ではありません。旧家の奥に冷たくひかる畳です。一月には年のあらたまった淑気と、その故に滅び行くものという影の一面もあります。滅びゆくものへの哀れさを晴子は衰えと捉えたのでしょう。
(帯より)
◆あとがきより
「飯島晴子の風景」を通して私は、その美意識に憑かれたように動きました。晴子は「吟行は結局自分の内部の景色の幾らか」だと言います。私は「飯島晴子の風景」で晴子が通ったと思われる後を辿ることで自分の内部の景色を覗き、その内の一部は晴子の美意識と重なっていたことを強く思いました。
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[ひらいしかずみ「幡」同人]
装画:戸田勝久
装幀・本文レイアウト:中島恵雄
四六判並製カバー装
238頁
2011.08.10刊行