◆第一句集
馬車を曳くサラブレッドに花野かな
久子さんは長年札幌に住み、小樽など北海道の風土を愛しているので、当然北海道の風光を詠った佳句が多い。
(序より:有馬朗人)
◆自選十句より
雪掃きて座敷わらしを迎へる灯
栗鼠跳んで光となりぬ雪間かな
いくたびも父の来てゐる雛かな
母灯す障子明かりが樹を透きて
国境の島のよく見え走り蕎麦
バー越ゆる背の美しき朱夏の天
殉教の島は明るし干蒲団
花氷とけて生まるる青い罌粟
この家にもう逃げ場なく寒波くる
そこだけが昭和西日の金物屋
*
[おおさわひろこ(1953〜)「天為」同人]
序:有馬朗人
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
218頁
2010.08.04刊行