◆第一句集
石狩の大地を分けて雪解川
衒いのない人柄から生まれた作品には心安らげる実感があり、特に自然に随順した句が大半を占めているのもこの作者の特徴となっている。
(序より・椎名智惠子)
◆椎名智惠子抄出
一枚も木の葉動かぬ大暑かな
群生も一輪もよし秋桜
菊の日と重ねて妻の古希祝ふ
晩年の荷を背負ひしか蝸牛
ひたむきに歩みし道や風光る
八十路なる今ふたたびの花に遭ふ
海風にゆらぐサロベツ大枯野
緑立つ一樹一樹にこころざし
眼前に米寿のいのち冬木の芽
年暮るる一瀉千里の余生かな
*
[やくわいさお(1926〜)「澪」同人]
序:椎名智惠子
装丁:和兎
四六判上製カバー装
208頁
20110804刊行