◆裁断の刃
抑制を破って時々突出してくる生な感情、気持の揺れがどの詩にもあって、「私」とは何者であるか、本当はどんな場所にいるのかという裁断の刃を持っている。服部さんとは別の、服部葵という未知の詩人が立ちあがっている。
(栞より:井坂洋子)
◆嵐のなかに出た言葉
服部さんの言葉は、根のところに関西的なひびきをしのばせた柔らかさをもつ。ある時期まで、それは、淡々と、あまり波風を立てないようにくりだされていた。しかし、そこにとどまらず、嵐のなかに出た。そのつよさ。そのかなしみ。さらに切れ味よく、さらに若く、この世界の、さまざまの間抜けな重たさに抗してきたのだ。
(栞より:福間健二)
「力について」より
復習するが
感動しない
感謝もしない
たしかにきょうも地上は影に入りはじめた
*
[はっとりあおい(1941〜)]
栞:井坂洋子/福間健二
装丁:和兎
B6判ペーパーバックスタイル
84頁
2011.07.10刊行