◆第一句集
五十歳を過ぎてからの俳句で、と満寿枝さんは言われるが、それからの三十年をこれほど充実して過ごされた方は、そんなに居ないと思う。こうして句集にまとめられたことで、あらためてその思いを強くしている。
(序より:嶋田麻紀)
◆自選十句より
音羽屋の派手なあぐらも初芝居
紅梅に舞ひつつ消えむ幕もがな
風垣の海側が好き浜大根
生れ月を夢見月とす夢の世に
竹皮を脱ぐ音今は高みより
山路かの与謝へつづくか花茨
漁具ひろげ八月大名大あぐら
なやらひもせで鬼あまた飼ひ殺し
外能登や海かけて来る夜叉時雨
大年を西へ率てゆく月の魄
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[いわさかますえ(1918〜)「麻」同人 ]
序:嶋田麻紀
跋:松浦敬親
装丁:君嶋真理子
A5判フランス装
232頁
2011.06.26刊行