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■第13回 現代詩花椿賞 受賞
■第46回 芸術選奨 文部大臣新人賞 受賞
◆帯より
べらんめえ調の啖呵あり、アメリカ俗語の悪態あり、でもコンチクショウがふと草の名前のように響き、言葉遊びなんかもさりげなく滑り込ませてあり、それでいて否それでこそ野菜の生命力を手づかみにしていて、野菜を歌っているかと思うとニンゲンについて、ほらと指し示している。千年前のアンデスの老農夫が声をかけてくるかと思えば、過去からぷいっと永遠に消え入ったりする。鋭い刺で、ままこの尻をぬぐっていじめるママコノシリヌグイなんて嬉しい草の名が詩の中に顔を出す。詩は一編一編それぞれまったく作者個人にかかわる内容なのに、読者の深い底でつながるという、野菜づくしの上等のライト・ヴァース集だ。
「結婚したほうがいいのか、それともしないほうがいいのかと問われるならば、わたしは、どちらにしても後悔するだろう、と答える」とソクラテスは言っているが、この詩集を読んだ方がいいかどうかと問われるならば、わたしは、読んだ方がいい、読まないと後悔する、と答える。
----------------川崎 洋
◆本文より
韮
にらの花はかなしい
にらの茎はおいしい
にらのにおいはくさい
にらの畑はさみしい
西日にゆれるにらの花
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[やぎみきお(1947〜)]
装丁:スタジオ・ギブ川島進
A4判変型上製カバー装
92頁
1995.07.28刊行