◆<みづいろの窓>藤田哲史書評―『讀本』評
◆関悦史さん「閑中俳句日記(別館)」にて讀本が取り上げられています。
◆第二句集
じやがいもの咲いて讀本文字大き
讀本という言葉が生きています。これが教科書ではつまらない。作者は職業がら、戦前の讀本を見る機会もあるのでしょう。明治から終戦まで、時代により国定教科書も変遷しました。いちばんはじめに習った言葉で生まれた時期がわかるとも言います。
(栞より:田中裕明)
◆自選十句
七種やひたすら青き山の裾
小刻みに氷柱雫の揺れてをり
子規の忌の丈より長き枕かな
水面の雨粒まろし生身魂
くるぶしのひやつと昼の木槿かな
いきいきと母老いてゆく旱かな
裕明の忌や切株に坐りゐる
接待や蕾の青き畑の菊
こんなにも秋の螢の明るくて
初蝶のニクロム線の匂ひかな
*
[やまぐちあきお(1955〜)]
栞:田中裕明
装丁:和兎
四六判並製カバー装
194頁
2011.06.02刊行