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◆遺句集
一枚の羽根うつくしき春帽子
（序句より：鷹羽狩行）
母が亡くなってから早いものでもうすぐ二年がたとうとしている。（中略）母は俳句を友とし、昭和五十九年に「狩」に入会した。それ以前からも俳句をたしなんでいたので俳句歴は三十年を優に超えている。
（あとがきより：鳥飼慎一郎）
◆収録作品より
よく燃えてゐて誰も来ぬ焚火かな
古稀などは気にせず選び春帽子
咲くまでは白と信じてをりし萩
大独楽の笑ふがごとく止りけり
軒先に日差しをさそひ柿すだれ
湯ざめしてたましひ淡くなりにけり
竹林の奥に日のさす秋暑かな
花茣蓙の匂ひの中の眠りかな
ポケットに両手を深く枯野かな
野良猫の一瞥にあふ雪もよひ
*
[とりかいえみこ（1940〜2009）]
序句：鷹羽狩行
装丁：君嶋真理子
四六判上製カバー装
156頁
20110522刊行
