[立ち読みする]
小さな頃から自分の気持を人に伝えるのが苦手で学生時代より詩を作り、同人雑誌に発表していた著者が、その中から21篇を選んだ第1詩集。表題作をはじめ、「日常」「ネコのミイー」「訣別」ほかを収録。
ひからびた満月に
逆らうことが出来るのか
時間は何処まで
針を戻していいのか
風の音、朝顔の花、山の手線、庭の茂みのなかに
過ぎ去りしものの魂を呼びとめて……。
満月はそのままに
若い手の上で踊り狂う
時間の隙間は西側の
入日のすぐ後にやって来る
針を戻していいですね
夜明けの前に戻りますから
雨上がりの路は
図りきれない遠さ
忘れないうちに
戻していいですか
(「訣別」より)
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装丁・君嶋真理子 菊判上製カバー装 90頁
●著者略歴
松田 和子
1946年12月10日生。荒川区役所勤務。國學院大學2部文学部文学科卒。区職員文化会「顔と顔」同人。文芸雑誌「新現実」同人