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◆ふらんす堂文庫
草田男門ならば誰もが知る「朝ざくらみどり児に言ふさようなら」(草田男)の手放しの向日性に、ここで鍵和田さんは呼応している。集中では比較的地味な句かもしれないけれど、私はこの作品などに鍵和田さんの真価を思う。
◆収録作品より
かたかごの花の辺ことば惜しみけり
クロッカス真白きは地のひとりごと
尼どちの稀な語光りねこやなぎ
友の訃よ日を探しゐる蕗の薹
長寿村にぞくぞく生えし蕗の薹
日輪が影より淡し枝垂梅
日の梅や反骨の性押し隠す
喪ごころの封じ目ほどけ梅馥郁
教職も終の採点梅月夜
結ひ髪に幾たびか触れ梅三分
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[かぎわだゆうこ(1932〜)「未来図」主宰]
栞:清水哲男
装丁:千葉皓史
A6判フランス装
84頁
1996.07.20