週刊俳句にて山田耕司さんが書評を書かれています!
<爽快、「理解不能で面白い」という感じ方。樋口由紀子『川柳×薔薇』を読む>
山田耕司
◆帯・池田澄子
情に食い込む知、そのことで情と知は発熱し合い増殖する。
自身へ他者へ向ける、時に刃めく鋭い言葉は、
川柳を愛し川柳に愛されていることで醸されて香る。
その香はきっと誰かを巻き込み、その人生を狂わせる。
◆川柳発見!
川柳は精神の有り様や心の葛藤、動作、様子、行為のおもしろさ、ごくごく個人的すぎる場所からも書くことができる。素材にしても、言葉にしても、敬遠するものが少なく、何の抵抗もなく一句に注入し、侵犯することができる。洗練されないことによって立ち上がり、そのことがかえって、その存在を強固なものにする。大人の判断で書かない方がいいと思われることや暗黙の了解で触れないことになっているものも、川柳では堂々と書いていくことができる。読み手の中にずかずかと入っていき、わざと居心地悪くし、うっとうしく、とんがらせて、強引に意味でねじ伏せていくのも川柳の醍醐味のひとつである。
(「はじめに」より)
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[ひぐちゆきこ(1953〜)「バックストローク」「豈」同人]
帯:池田澄子
装丁:和兎
四六判ペーパーバックスタイル
214頁
2011.04.11刊行