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◆第一詩集
魚は基督の隠喩であり、私は、彼の降臨以降、世界が時間を人間精神に内在化させたが故に、歴史が成り立ったと考えている。
王は、原初の人の謂であり、すべて人間は、初め王として地上に降り立ったはずである。
私は、その王たる人間のイデアとしての記憶を書いた。
(後記より)
◆作品より
「私と世界の複雑な王」
世界が私を容れ
私の意識が世界を容れる
私と世界は仲をなさぬ入れ子のまま
一瞬として
私の世界は休むことがない
私と世界との関係の入り口には
意識が控え
その背後には自己意識という
私の中の王が座す
彼は暴虐であり
世界を一刀のもとに
つねに否定している
世界との微細のつながりは
この王の瞳孔の大きさもない
しかし、彼の目の奥には
深い闇が拡がり
世界のあまねくの像が射影され
無限の底を
すべて眼の対象に匹敵する大きさとして
持っている
私の否定の王は
大きさを持たないか
無限である
胡桃の中に住まうか
天空に広がる
永遠を制覇はしないが
連続する一瞬を永久に支配する
*
[さとうすすむ]
装丁:和兎
A5判上製カバー装
166頁
2011.03.03刊行