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◆南風シリーズ2
かにかくに土筆三本煮て食うべ
もはや俳句の名利に関る意識など一切捨てて、作句そのものに喜びを持つという、作者のこの自足の思いが私には爽快に伝わってくる。端正な風姿、この一集への私の印象である。
（序より：山上樹実雄）
◆自選１０句より
日傘過ぎ人力車過ぎ奈良格子
美しき耳集ひけり成人祭
纎月が黒円を抱く二月かな
目高走す深きに逃ぐることなくて
笹鳴きの発止発止と打つごとく
啓蟄や歩くつぐみに歩く椋鳥
踏切の向かうの夕日地蔵盆
箸墓に卑弥呼の声か秋の声
木と坂をわれも愛して織田作忌
亀石の瞼に薄日十二月
*
[しきはるひこ（1930〜）「南風」同人]
序：山上樹実雄
装丁：和兎
四六判ペーパーバック
112頁
2011.03.14刊行
