[在庫僅か]と表示される商品はお手数ですが、在庫をお問合せいただきご購入下さい。「在庫あり」と表示されていても品切れの場合がございます。
◆第二歌集
万葉の故郷、母の学んだ古都奈良を深い愛着を持って旅をしました。そして千三百年の歌の定形に守られて短歌を続けることが出来ました。
(あとがきより)
◆収録作品より
うつし世の光の中をつくづくと寒牡丹の苑を巡れり
夜明け前の喜びとして春の歌ストラディバリウスは奏でる
農民の石臼となりし石鼓文 字と識られて白昼にあり
巻髪のうしろを丸く失いし盧舎那仏なり千二百年のち
ほそぼそと土を這いゆく一匹の赤天道虫は受験の孫か
春節のランタン灯る生ぬるき風に吹かれた香港の夜
おおらかに両手をひろげ立つ乙女阿修羅の像を遠くより見る
万葉の答志の島の春がすみ小女子漁のさかんなる頃
弥生なり武蔵一宮の参道を旗立ててゆく文学散歩
花びらのような手を取り百年のこぶし幼稚園の木の下通る
*
[こまがたきょうこ(1938〜)『心の花』会員]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
140頁
2011.03.03刊行