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◆典雅な作風
衣更へて親しきものに湾の風
一湾の弧をあきらかに夜涼の灯
快い前句は皮膚感覚で、美しい後句は視覚でとらえて見事である。
咲きのこるものに音たて初霰
花は咲き残り、葉はすで枯れているものもある。「音たて」が冬の到来を告げる。
花の山より見おろして花の谷
吉野山か。山頂から谷底まで花または花の光景。俳句における単純化の極みである。
典雅な作風が谷和子さんの特徴と言ってよい。
(帯より:鷹羽狩行)
◆遠藤若狭男抽出
片蔭を濃く中世の石畳
一湾の弧をあきらかに夜涼の灯
遠ざかるものうつくしや鳥雲に
音のなき午後を音なく竹落葉
目つむれば身のすこし浮く月夜かな
青をぎらりと立ち止り青蜥蜴
森を出て森かへりみず草の絮
とんと揺すれば落着きて落葉籠
ふはりふくらみふらここの女の子
花の山より見おろして花の谷
*
[たにかずこ(1940〜)「狩」同人]
序句・鑑賞七句:鷹羽狩行
跋:遠藤若狭男
装丁:奥川はるみ
四六判上製カバー装
208頁
2010.12.24刊行