◆精選405句
金風や虚子も素十も歩みし野
人生は秋風に似ている。暑い夏が終わって、一筋の秋風が吹いた時、何と有難く心強くああ生きてこそとなどと思うのである。(あとがきより)
◆収録作品より
小さき音たてて秋水流れをり
蝶々に大きく門の開いてをり
緑蔭に人は小さく歩み去る
追憶は近くて遠し藤の花
波頭どどと崩れて春惜しむ
立冬の小さな駅に人を待つ
これよりは花の明け暮れ観世音
海匂ふ遅日の町に着きにけり
しぐるるや朝湯の煙真つ直に
春立つや朝の茶柱縁起よく
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[ほしのつばき(1930〜)「玉藻」主宰「ホトトギス」同人]
栞:星野高士
装丁:君嶋真理子
A6判フランス装
86頁
2011.01.08刊行