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◆豊かさと楽しさ
早苗饗の果ては嫁取り話かな
結仲間の宴。嫁取りは、いつも「話」だけに終って、まだ実現していないようだ。
十日ほど仏間に据ゑて初西瓜
新胡麻を砂金のごとくたなごころ
前句、ご先祖への心が「十日ほど」に出ている。後句、「砂金のごとく」と称えて収穫をよろこぶ。
大粒は思はず口に苺摘み
食べ切らぬうちに筍また届く
こうした作物が豊かにみのる土地で、楽しい俳句をつぎつぎに生み出している。
(帯より:鷹羽狩行)
◆田口紅子抽出
獅子舞の大き口より賜ふもの
大試験父の時計を腕に嵌め
世の音の届かぬところ春障子
十日ほど仏間に据ゑて初西瓜
玉虫の爪の先まで粧へり
稲の波寄せて前方後円墳
新胡麻を砂金のごとくたなごころ
藍甕の藍の息づく土間の冷え
緞帳の鶴の羽ばたき冬はじめ
冬耕のひとり宮沢賢治めく
*
[しばさき・かよこ(1945〜)「狩」同人]
序句・鑑賞七句・帯:鷹羽狩行
跋文:田口紅子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
194頁
2010.12.12刊行