◆震撼と第二句集
句集名「蒼空船」の舌ったらずな四音、不思議な音律……。
『萬葉集(全20巻)』の初めも初め、巻第一、最初の歌、
そらみつ やまとの國は おしなべて 吾こそ居れ
この「そらみつ」こそが、凡そ1200年後の森須蘭を呼び出し「そらふね」によって踏襲させたのである。とすれば「そらみつ」が大空の広さこそやまと、になって、現代の「そらふね」は大空をゆく雲、星、風になると読めて大いに納得できるのだ。
(帯より:川名つぎお)
◆自選十句
離陸する船の前方かげろえり
息つぎのここから花の息づかい
缶ビールパシュッと 今が孤独なり
胎内に昨日の私平泳ぎ
三段跳びの途中の君は蜃気楼
金木犀の音満ちてゆく夜明け
冬の蝶どちらから動いても 恋
誰待つとなく満月を着用す
霧深き机上に海の広がれり
オカリナの響き冬夜のヒマラヤ杉
*
[もりすらん(1961〜)「衣」「蛮」創刊同人「ロマネコンテ」「豈」同人「集」参加]
序:前田弘
跋:川名つぎお
表紙/本文カット:宮坂翠・高遠朱音・森須蘭
装丁:山岡有以子
四六判並製カバー装
220頁
2010.11.01刊行