◆私、とつぶやいてみる
仏典から詩へ
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こうして地より涌きいでてきた
清らかなことばで満たされますように
あなたの口が縁までひとしく、
鳥や虫や花ばなが飲めるほどに満ちますように
◆「クレピト[百花]」より
こうして涌きいでてきたものの、
どこへいくこともせずどこへもいけずに
ふかい
地下森林から吹き上がる風をうけ
うけた風をそのまま空へとかえす
すり鉢状の山の頂の上にいて
とぶ鳥のように、衣一枚になり、両腕をひろげ
五月の雨にたたずんでいた
私は
私を流れる
ひとすじの思い
空中に不思議なアーチをいくつも築き、
伝えたい思いとして
届けたい思いとして
どの路を通じてもあなたに交わるのだろう
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[たかはししょうえい(1982〜)]
装丁:和兎
A5判変形ペーパーバック
96頁
2010.10.28刊行