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◆俳句紀行
玉門関月は俄に欠けて出る
春の光さえ届くことのない西の果ての玉門関は、いまは総ての虚飾を剥がされて黄土色した正方形の土の塊として我々の前にある。しかし一塊の土たることを露わにしても玉門関は我々の前に圧倒的な量感をもって迫ってくる。一個の意思を持って。その玉門関は鉄柵に囲まれていた。(帯より)
◆収録作品より
沙州とは全ての星の降るところ
解剖図拡げて見入る戈壁沙漠
別れとは天外を行く鶴一羽
葱下げて故宮に迷う男あり
黒揚羽酔うて絶巓より離江
晴れた日に向こうから来る贋作屋
踊り子に重ねて春のことを問う
炎天の大河を豚の四肢流れ
聖ヨハネ修道院坂に蛸干され
わたくしの白夜の影がゆれている
U字谷の底で声を殺している菫
かなもじという裸体を思う秋の空
*
[ぶまくにひろ(1948)「船団」会員、「有史会」会員]
装丁:山岡有以子
四六判フランス装函入り
150頁
20100901刊行