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◆第一句集
みづひきの銀やあだし野しづもれる
彼女が“あとがき”にも書くように、人生の晩年も晩年、最晩年にさしかかって「俳句」を始めようとは思ってもみなかったという。この人の来し方は知らぬが美しいものには敏感だったのだろう、この前こっそりアクセサリーを作っていた昔のことを話してくれた。見極める“眼”という素地はあったようで、美しい玉を並べるように言葉を綺麗に繋いで、“これは”というような端正な形の句を出して来た。
(序より:中原道夫)
◆自選十二句より
炭足してより如月の匂ひけり
牡丹やふき替への萱ちらばれる
しほたれし皐月に凜々し黒揚羽
喧噪にすだれ一枚掛けてある
青竹の一本祭用意かな
尾の先へ蘭鋳の揺れとどきけり
熟るるには遠き桃にも袋要る
落雁の小菊寄りあふ小六月
枯芙蓉雨情たつぷり吸はせやる
冬の霧たてがみの切り揃へあり
*
[なか・ちづる(1932〜)「銀化」同人]
序/装丁:中原道夫
A5判変形上製カバー装
192頁
2010.09.17刊行