第34回俳人協会新人賞を受賞!!
◆日常の非凡
めつむればくまなく春の水の音
季題の力で一句一句が見事に立ち上がってくる。
この季題の無限の力に托した一句一句こそ、由美さんのこの句集にこめた花束なのだと思う。
(栞より:深見けん二)
◆自選十五句より
春なれや水の厚みの中に魚
春雷を聞き逃がしたるかと思ふ
蟇交む似たやうな顔うち重ね
家からも見ゆる桜に歩み出づ
合歓に蝶一度は閉ぢし翅広げ
緑蔭の幹といふ幹濡れてをり
風の音次第に近し今蓮に
本持ちて明るき方へ避暑の宿
三人に見つめられゐて西瓜切る
野分来ることに少年浮き浮きと
*
[いわたゆみ(1961〜)「藍生」「屋根」所属]
栞:深見けん二
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装グラシン巻き
210頁
2010.07.19刊行