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◆第一句集
作者は「打座即刻」の人である。例えばこういう句がある。
蜂飼の言葉短き船の中
この何気ない現象の中から、詩の在り処を、瞬時に的確に掴み、一句に昇華させている。このことは「蜂飼」という季語の本意を作者が本能的に知っているが故である。
（帯より：岡本高明）
◆岡本高明選
春堤に押し上げられし車椅子
野遊や夫を誘ひし悔い少し
春昼の母を包みしバスタオル
桃の日の余所の仏壇拝しけり
人相の悪しき子となり卒業す
門柱に紙の表札夕桜
足首をほめられてゐる磯遊
二次会の白玉掬ふ祇園かな
夕顔やネクタイを手に夫帰る
謝らぬ母の足拭く良夜かな
*
[おおやまふみこ（1949〜）「火星」同人]
帯：岡本高明
序：山尾玉藻
装丁：奥川はるみ
198頁
2010.07.17刊行
