◆最後の第七句集
灯を消して月の雛としばらくを
月明かりのただ中にひっそりと座す作者。
閑寂な闇があたりをおおう。
雛の目を見つめ作者の胸に去来するものは……
今となっては月の雛のみがそれを知る。
最後の第七句集
(帯より)
◆山田佳乃抄出
散りたくて散りたくて冬桜かな
鳥獣は眠り桜は星のもの
野にあればことばは光露滂沱
風に斧あづけ蟷螂枯れゆくか
プールより上り真青のタオル巻く
山寺の昼の深さをばつたんこ
鳳作に惚れて上布のをんなかな
汗の子が三人居候一人
懸大根母を隠してそれつきり
ポインセチア真正直の赤なりし
*
[やまだひろこ(1934〜2010)]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
238頁
2010.07.11刊行