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◆ふらんす堂文庫
自らへおくる挽歌として自選222句。
生の虚無から死の豊饒へ。俳句形式の中で解き放たれた自在なる魂と、その成熟した作品の数々。著者の魅力のすべてがこの一冊に。
◆収録作品より
春の日やあの世この世と馬車を駆り
昨日から木となり春の丘に立つ
わが墓を止り木とせよ春の鳥
遠つ世へゆきたし睡し藤の昼
人妻に春の喇叭が遠く鳴る
桃のなか別の昔が夕焼けて
桃の世へ洞窟を出でて水奔る
こんな崖にも春は来てゐて垂れる蛇
日暮れまで摘みし蓬のこれつぽつち
雛菊に倦みて羊となりにけり
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[なかむらそのこ(1913〜2001)]
栞:松平盟子
装丁:千葉皓史
A6判フランス装
90頁
1996.05.10刊行