◆第一句集
二十代の本音と呟き。幼さの揺曳も、早熟な感慨も、みずみずしい感性も、ひたむきな思いも、変身を待つおののきに震えている。ひらかれた俳句の扉から飛びたった言葉のひとつひとつが眩しい句集。
(帯より:西村和子)
◆自選10句
夏空を駆け上がるやうにして別れ
赤ちやんの口もと美人小鳥来る
時雨るるやのつぺらぼうのガーゴイル
しやぼん玉噴き上げパレードの鯨
心臓の震へるやうに蝌蚪泳ぐ
母さん母さんとくつついて軽鳬の子
まつすぐになんかなれないバレンタイン
飛びたくて飛びたくてむささびの進化
寒夕焼こんなカクテルあつたかも
春埃仕舞ひきれないものばかり
*
[すずきとしこ(1980〜)「知音」同人]
序・行方克巳
帯・西村和子
装丁・山岡有以子
四六判小口折
204頁
2010.06.16刊行