◆豈weekly@閑中俳句日記(36)
杉原祐之句集『先つぽへ』
◆第一句集
蜻蛉の目覚めの翅の重さかな
闇雲に「新しさ」を追い求めるのではなく、心の深いところから自ずと滲み出るような新しさを大切にしながら、花鳥諷詠の真髄へ突き進もうとする祐之さんの姿勢こそ、尊いものであると私は高く評価する。
(序より:本井英)
◆自選十句
水鉄砲撃つて喜び撃たれて喜び
長き夜へ夜行列車の発車せる
菜の花のもつと濃い色だつたはず
出張の帰りの植田明かりかな
学校の空地に昆布干しにけり
念入に樽の酢茎を置き並べ
後輩の退職の日の冴返る
海女小屋の電気メーター回りをり
蜻蛉の目覚めの翅の重さかな
叱られに会社へ戻る秋の暮
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[すぎはらゆうし(1979〜) 「山茶花」同人、「夏潮」運営委員]
序:本井 英
栞:三村純也
装丁:山岡有以子
四六判並製カバー装
192頁
2010.04.28刊行