[立ち読みする]
◆ 第一句集
「火山灰の降る街に来て焚く門火かな」「鹿児島」の前書がある。ご主人様の出身が鹿児島と承知している。桜島の噴火とともに、鹿児島の町々には風向きによって沢山の火山灰(よな)が降る。たまたま火山灰の降る頃、はるばるその町に帰省し、亡き父のために焚く門火である。淡々とした筆致のうちに、故人追慕の気持がしっかりと詠いとめられている。(山崎ひさを)
●自選一〇句
ほどきゐる初荷の紐の長きこと
父祖の地の話となりぬ晩白柚
喫茶去や露地に一樹の糸ざくら
母の日に卒寿の智恵を借りにけり
しばらくは銀河の中に子も吾も
月の客見送る鼓一つ打ち
老い母の一服点てし名残の茶
道元の墓に色鳥来てをりぬ
口切の客を見送りひとりの茶
寒林を行く全身を耳にして
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
序文・山崎ひさを
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装
196頁 2007.11.29刊行