[在庫僅か]と表示される商品はお手数ですが、在庫をお問合せいただきご購入下さい。「在庫あり」と表示されていても品切れの場合がございます。
◆俳諧の真髄
汗ふいてこと荒立てることはせず
汗を拭くことによって腹立ちを抑えようとしているのだ。心理描写が巧み。
悪役の方は萎れず菊人形
着飾った主役の菊は萎れ、花数の少ない悪役の菊は、いつまでも美しいという。
たつぷりと叱られてゐる日永かな
日が永い分、叱られるのもたっぷり時間をかけてということになってしまった。
俳諧の真髄に迫る、心憎い句集である。
(帯より:鷹羽狩行)
◆杉良介抽出
汗ふいてこと荒立てることはせず
村道の白く長くて終戦日
みづからを欺きとほし大石忌
悪役の方は萎れず菊人形
歌までも流れてきさう春の川
ハンカチを畳み直して妥協せず
懐手思慮深さうに見えにけり
前に行くものを信じて蟻の列
秋の蚊に刺さるるほどの気の弱り
たつぷりと叱られてゐる日永かな
*
[えがわかずひこ(1936〜)「狩」同人]
序句/鑑賞五句/帯:鷹羽狩行
跋:杉 良介
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装グラシン巻き
216頁
2010.04.28刊行