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◆第一句集
病む我を消しても消しても黄水仙
病む自分をあくまで消しさりたい、しかしどうしてもそこに黄水仙がある。ただその在りようは、消したい最後のものとして残っているのではなく、かけがえのない、強靱な存在として、しかも小さな、美しいものとして、すべて消された後ゆえに顕在化した核としてあったのである。なんと貴いものが心底に咲いていたのだろう。
(跋文より:上田睦子)
◆自選十句
五カペイカの完熟トマト旅つづく
春の雪イエスの衣濯ぎたし
卯の花垣母の手引いて小さく曲がる
放課後の教壇降りて桐の花
蓮の実の穴に宿借る神ひとり
立浪草逝く子それぞれ靴持つて
あなたはどこ私はここよ螢の火
許しあふ肩の高さやカンナ咲く
冬岬風に吹かるる顔の位置
泥海や蟹の透きし目立ちてをり
*
[ひがしたにかずよ(1949〜)「寒雷」会員]
跋:上田睦子
装丁:奥川はるみ
四六版上製カバー装
158頁
2010.03.14刊行