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◆第一句集
人生の転機に俳人としてどう向き合うか。重圧に屈して筆を折る者もいれば、与えられた運命を俳人としての成長の糧となす者もいる。岸遊子さんはちょうどそのような時期に藤田湘子の門を叩き、あえて手塚宇芽の名を捨て、一新人として再出発し大きな飛躍を遂げた。この句集はその軌跡である。
（帯より・小川軽舟）
◆小川軽舟選
出直さむ寒潮の香の胸に満ち
ひとすぢの涼の先なる糸蜻蛉
カラビナの一個が形見寒北斗
花散るや逆波しろき酒匂川
ジェット・コースター絶叫柱なす炎天
ながながと日を貪るや穴惑
我若しみどりの風と雪渓と
曼珠沙華たしかに村のあつたはず
臘梅をはなれてよりの血のぬくみ
海を発つ一鳥しろし寒明くる
*
［きしゆうこ（1930〜）「鷹」同人］
序・帯：小川軽舟
装丁：奥川はるみ
四六版上製カバー装
174頁
2010.03.03刊行
