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◆ 第一句集
「水澄めば水音も澄み長良川」「城山の上をおほひて鳥渡る」のように、風土を確かな表現力によって格調高く詠い上げた作品が並ぶ。「人だかり多いところの苗木買ふ」人だかりしているところで物を買うという人間心理。「見得切りて台詞忘れて村芝居」格好よく見せようとしたのに肝心な台詞が出てこない。二句とも、人間の微妙な心の動きを巧みに描き出す。自然も人間も愛してやまぬ著者である。(鷹羽狩行)
●鷹羽狩行抽出
篝火でおみくじを読み初詣
気のゆるみ戒めるごと寒戻る
堰落ちる水にも力日脚伸ぶ
家中に風を通して更衣
目ばかりが大きくなりて日焼の子
うつし世の塵を払ひて雛納め
鵜篝の消えて魚臭の強まりぬ
大桑の急所を押へ込み括る
角たてて木屑まみれの兜虫
桐一葉落ちて決断すべきこと
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序句・帯/鷹羽狩行 跋文・長田 等
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装
200頁 2007.11.23刊行