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◆遠く遥かかなものへ
常の実体を透けた奥にある未分明の想像に達していて、焦点は深いところにある。それは時空を超えた高次の世界を探ろうとしているのかもしれない。
（栞より・和田悟朗）
師への相聞を超え、遠く遥かなものから未来のものへの相聞。この短き詩形によって、なおも恋いわたり給え。
（栞より・寺井谷子）
◆自選十句
我に問う冬の海から生れ来て
天体は人体に満ち豆を撒く
柊の文化たどれば煙るかな
水送り水取りまでをうねる闇
紅梅の老樹と合せ鏡かな
千年の一樹を以って椿山
源は寧夏銀川水位なし
この秋は池魚の殃多くあり
洞穴のむこうに冬の芽の光
ハーモニー和して同ぜず枯木山
*
[ふじかわゆうこ（1938〜）]
栞：和田悟朗／寺井谷子
装丁：君嶋真理子
四六判上製函入
134頁
2009.12.09刊行
