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◆第二句集
本書の書名は、詩集や歌集ならともかく句集名としては語感が強過ぎてそぐわないところがあるし、また奇を衒(てら)うかの感が無くもない。しかし、「あの光知つてゐますか浦上忌」の「あの光」は、絶対に直視できなかったはずの光であるが、「あの光知つてゐますか」は発光の一刹那、目が、勝手に向くともなく向いてしまった、という実体験のあった人のみが遣(つか)えることばなのである。そのむごく凄惨(せいさん)なこの世の地獄を、ずっと胸臆深く蔵してしまって生きてきた方が、この、とある年齢に達して、ふと口をついて出てしまったことばなのである。
(帯より・波戸岡旭)
◆波戸岡旭推薦10句より
芹摘みてこの世さらさら短かけれ
飾売うしろの闇に一服す
ティッシュ箱より紙の立つそぞろ寒
口中を広く使ひて海鼠噛む
明け方の水の匂ひや原爆忌
くさめして眉の落ちたる心地かな
鼻黒の仔猫の器量抓(つま)みけり
囀りて梢が軽し聖午鐘
連れ合ひに声のとどかぬ酉の市
牛の尾が牛打つ霧の草千里
※「くさめ」は漢字です。
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[しまだたえこ(1928〜)「天頂」同人]
序文/帯文:波戸岡旭
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
188頁
2009.10.26刊行