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◆昔語りの暖かさ
目つむりて祭化粧をして貰ふ
楽しかった子供の頃のことを回想しての句だろう。
返り花絞り出したるごとき紅
くれなゐの雲の導く神の旅
冬の寒さ・暗さを寄せつけない赤色のもつ力を詠む二句。
日蝕の欠片はどこへ藪からし
太陽の黒いかけらは藪からしが隠してしまったのだろう。
いずれも懐かしい昔語りを聞いているような温かさを感じさせる句集である。
(帯より・鷹羽狩行)
◆鷹羽狩行抽出より
鷲座より亡き父の声星祭
秋思ことさら北限の磨崖仏
嫁ぎもせず尼にもなれず沙羅の花
涼しさや一寸にしてハーブの香
未来都市かと思はせて蜃気楼
露けしや篝火色の能衣裳
着ぶくれてこのまま老いてゆく恐れ
誘ひ合ふやうに人逝き二月かな
疎まれぬほどに師を恋ひ星迎
柩出す花柊の香の生家
*
[すがわら・しゅくこ(1939〜)「狩」同人]
序句・鑑賞三句・帯:鷹羽狩行
跋文:片山由美子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
198頁
2009.10.10刊行