書籍詳細

後藤比奈夫句集『初東雲』(はつしののめ) [9784781402031]

販売価格: 2,667円(税別)

(税込: 2,934円)

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◆第十一句集
齢も九十を越えると、思いがけない体力の消耗に気づく。体力ばかりでなく体の機能も同じである。昨日まで分かっていたことが急に分からなくなったり、今まで出来ていたことが急に出来なくなる。句作りにとっては致命傷。それに負けない為に、私は心を大らかに平らかにして、くよくよしないことと決めてしまった。そして何よりも起居不如意には虚子先生の、

秋風や眼中のもの皆俳句   虚子

の御句に身を任せることにして対抗することにした。目に入るもの片っ端から俳句にしようという心意気。それしかなくて出来上ったのが『初東雲』である。よかれ悪しかれ今の私にはこれだけしかないという、いとおしい『初東雲』。

◆自選十五句より
夜の闇にまぎるるために濃き浴衣
米寿まできて穀象の仲間入り
秋惜む時空足らざる思あり
白で来し綿虫青に変り消ゆ
午後は憂し馬酔木の花も御仏も
四十五度美しとせし踊の手
冬雲がこんなに白い日もありぬ
人恋へば枯山水に初時雨
人の目を偸みて春の水となる
伏見雛醍醐の花を夢見給ふ

*

[ごとうひなお(1917〜)「諷詠」主宰]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
206頁
2009.09.22刊行
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