第33回 俳人協会新人賞受賞
◆第二句集
ふらここや岸といふものあるやうに
季節が違っても、はるか彼方からの光は地球に射す。春は揺れては戻る鞦韆が光の川と化す。流れること、移ろうこと自体のまぶしさに、とりわけ作者は敏感なのだ。
(栞より:奥坂まや)
◆自選十五句より
我を見ず茨の花を見て答ふ
秋水にオーケストラの百五人
火に近く十一月の柱かな
息白し河原の石を拾ふとき
合歓の花不在の椅子のこちら向く
瞬きに月の光のさし入りぬ
かすかなる空耳なれどあたたかし
山法師一つの朝に夜の来ぬ
朧夜のマーマレードに深く匙
家中のしんとしてゐる桜かな
*
[もりがまり(1969〜)「静かな場所」代表]
栞:奥坂まや
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装グラシン巻き
208頁
2009.09.22刊行