◆第二句集
著者が第一句集『遠嶺』を出版されてから、既に二十年近い月日が流れた。その間著者の周辺にはいろいろのことが起こった。とりわけご主人様が病み、そして亡くなるという悲しみ・・。この句集『朝顔』にはそのご主人が病み、衰え、亡くなるまでのこと、そしてそれ以後の氏の鎮魂の思いが包み隠さず記されている。
(帯より・今瀬剛一)
◆今瀬剛一選
さざれ石の巌となりて灼けてをり
立ち上がる波に影あり秋の風
夫留守のおかかのうごく冷奴
朝顔の萎むに力ありにけり
天辺より落ちし椿の無傷なり
相聞の色とぞ思ふ照紅葉
涅槃絵図仏に影のなかりけり
いにしへの白を通して花辛夷
穂すすきに入日の重さ加はれり
長江のゆつたり早し星逢ふ夜
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[すぎたさだこ(1932〜)対岸同人]
帯文:今瀬剛一
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
186頁
2009.09.17刊行