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◆第二句集
千鶴羽さんは、俳句を始めてよりの日々を「指の隙間から零れてしまうような日々」と言う。そんな零れてしまうような日々の、零れてしまいそうなふとしたことを掬い上げ、作者でさえ思いも寄らなかったかもしれない言葉の余白にたどりつく。
あっけらかんと、さわやかに。
魚は氷に上りて君とゐる不思議
メーデーの風船は手を離れけり
（帯より・西野文代）
◆自選１０句
トマト食ふ腕の産毛のきらきらと
白息につつまれてくる言葉かな
浅春やしやがみて選む花の鉢
早贄の蛙やあつと言ふ形
暁を蒼く飛び交ふ雪螢
ジャワ密林の香の入浴剤を初湯かな
炭酸の喉に弾け星の恋
春日向お茶の用意のしてありぬ
一枚は空を写して卒業す
椅子深く倒して星の降る中に
*
[えんどうちづは（1964〜）句歌詩帖「草藏」 同人誌「大」 ]
帯・西野文代
装丁・柚子谷七月子
四六判ペーパーバック
154頁
2009.08.18
