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◆第二句集
水引の花は動かず入日さし
このたびの句集の名前「沙鴎」は杜甫の五言律詩「旅夜書懐」の最終行「天地一沙鴎」からとられたという。「天地一沙鴎」の前の一行「飄飄何処似」(飄飄何の似るところぞ)とあわせ読むと砂浜の一羽の鴎にこめた山西さんの心持ちが見える。
(栞より・中田剛)
◆自選十五句より
均されて炎みじかきどんどかな
大空にしら梅をはりつけてゆく
石鹸玉まだ吹けぬ子も中にゐて
花びらのごとくつめたくなめくぢり
小満のみるみる涙湧く子かな
幾度も来し空蝉よ今年また
桃の木の脂すきとほる帰省かな
ゆるやかに深く青葦原吹かる
西日さす芝の面の雨の粒
樟よりも松高く秋澄みにけり
*
[やまにしまさこ(1960〜)「星の木」創刊同人]
栞:中田剛
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装グラシン巻き
178頁
2009.08.08刊行